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コラム

2019.08.29

author:森田

マーケティングオートメーションの進化

マーケティングオートメーションの進化

 2014年あたりから、「マーケティングオートメーション」というキーワードをよく耳にするようになりました。直訳すると「マーケティングの自動化」という意味ですが、英語版Wikipediaでは、Marketing
Automationを「マーケティング活動をもとにスコアリングし、それに合わせたメッセージングをメールやソーシャルメディアのチャネルを使って行うことで、興味・関心のレベルから営業プロセスが行えるまでに育成すること、及びそのためのソフトウェア」と説明しています。この定義によるとリードジェネレーションとリードナーチャリングを効率化してくれるソフトウェアということになるでしょうか。

 実は、マーケティングオートメーションという言葉は決して新しいものではありません。インターネットが普及する前の1980年頃にすでに言葉として使われており、1990年代後半の、いわゆるITバブルの時期には、アメリカでマーケティングオートメーションを掲げるソフトウェアが数多く登場しました。ベンダーとしては、1997年に設立されたAnnuncioや、1998年に設立されたAprimoなどがあります。当時はソーシャルメディアという概念はなかったものの、Webを使って「One to One」マーケティングが実現できるツールと期待されました。日本でも輸入販売されたので、これらのベンダーの名前を聞いた記憶のある人も少なくないと思います。ただし、当時のベンダーは買収されるなどして、今ではほとんどが存在していません。今では、Salesforce、Hubspot、Adobeと統合したMarketoなどのツールが有名です。

 当時の成功例としては、Amazon.comが導入したレコメンデーションシステムがあげられます。Amazonの導入したシステムがマーケティングオートメーションのすべてではありませんが、利用者の行動履歴や購買データに基づき、顧客が関心を持ちそうな商品の推奨やクロスセルなどのプロセスを自動化することに成功しました。マーケティングオートメーションが実現できる一つの形を示したと言えます。

 当然ながら、テクノロジーの進化に伴い、近年ではマーケティングオートメーションで実現できることも格段にレベルアップしています。調査会社Focus.comが公表しているインフォグラフィックによると、マーケティングオートメーションの機能としては、「コンテンツのスケジュール配信」、「ハウスリストの精緻なセグメント」、「戦略的なアップセル及びクロスセル」、「見込み客のスコアリング」、「キャンペーンマネジメント」、「効果測定・レポーティング」などに分類できます。
最近重視傾向にあるのが、ソーシャルメディアと連携した機能やレコメンドの進化したプレディクティブコンテンツの自動配信などです。これらすべての機能が一つのシステムで自動化できれば理想的ですが、既存システムとの統合には時間も必要になります。
効率を実現するためのMA導入ですが、システム導入のための時間的負荷、マーケティング精度の低下、ブランドイメージの低下などを招いてしまっては本末転倒になります。

 今後、マーケティングオートメーションの考え方やテクノロジーはWEBマーケティング、メールマーケティングを実施するにあたって、当たり前のことになっていく可能性があり、そうなればマーケティングオートメーションという言葉自体も消えていくかもしれません。LINEビジネスコネクトの導入のハードルが下がり、メールマーケティング同様のセグメント配信や分析がLINE上でも気軽に行えるようになってきており、日本では普及のハードルが高かったチャットボットもLINEボットの導入の加速化により存在感を増してきています。

 ただし、最も重要なことは、自動化ばかりに気を取られず自社のことを理解してもらうためのストーリー、シナリオをどれだけ軽快にユーザーに体験してもらうかを軸に考えることだと思います。

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